
監督・企画・編集:石田智哉
キャスト:石田智哉、砂連尾理、佐沢(野﨑)静枝、美月めぐみ、鈴木橙輔(大輔)、古賀みき
プロデューサー・録音:藤原里歩 撮影:本田恵、壷井濯、柗下仁美 整音:橋本昌幸
字幕監修:北川光子、木山直子、佐沢(野﨑)静枝
音声ガイド制作:鈴木橙輔(大輔)、美月めぐみ、平塚千穂子 ナレーション:ぺんぺん
協力:バリアフリー演劇結社ばっかりばっかり、立教大学しょうがい学生支援室、立教大学ボランティアセンター、バリアフリー映画上映会実行委員会 ほか
指導教授:篠崎誠 配給:東風
第2回 立教大学 映像身体学科学生研究会 スカラシップ助成作品
2020年|日本|94分|英題:Transform!(C)2020 Tomoya Ishida
電動車椅子を使って生活する石田智哉監督は、「しょうがい者の表現活動の可能性」を探ろうと取材をはじめた。演劇や朗読で活躍する全盲の俳優・美月めぐみさん、ろう者の通訳の育成にも力を入れているパフォーマーの佐沢静枝さん。多様な「ちがい」を橋渡しするひとたちを訪ねる。石田と撮影、録音スタッフの3人で始まった映画制作。あるとき石田は「対人関係でちょっと引いちゃうんです。映画でも一方的に指示する暴君にはなりたくないと思っていて…」と他のスタッフに打ち明けた。対話を重ねながら、映画のつくり方も変化していく。
石田自身の心と体にも大きな転機が訪れる。振付家でダンサーの砂連尾理さんは、「しょうがい」を「コンテクストが違う身体」という言葉で表現した。「車椅子を降りた石田くんがどんなふうに動くのかを見てみたい」。そう誘われて、石田もパフォーマーとして舞台に立つことに。それは多様な動きが交差するダンスという関係性の網の目にみずからをあずける体験でもあった。とまどい、揺れながら、またあらたな表現の可能性が拓かれていく。
完成した映画は、第42回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2020」グランプリに輝いた。審査に関わった映画のプロたちが「とにかく興奮した」「映画をつくる楽しみが、画面全体から伝わってきた」と激賞した。映画の登場人物たちが迎える大団円を見つめる私たちは、スクリーンから溢れ出す表現する歓びに震え、知らぬ間に「へんしん」してしまった自分自身に、心の底から驚くだろう。
本作の劇場公開では、石田智哉監督が探究し、掴んだものを表現するため、「日本語字幕」をスクリーンに投影し、映画本編の音に加え「音声ガイド」を劇場内のスピーカーから流します。このかたちを「オープン上映」と呼ぶことにしました。はじめは驚きや戸惑いがあるかもしれませんが、最後までご覧になった一人ひとりが新しい感覚をひらき、面白さを感じてもらえたらうれしいです。(*ユニバーサルシアター シネマ・チュプキ・タバタでは、音声ガイドは劇場内のスピーカーではなく、イヤホンから流れます。各座席に備え付けのボリュームコントローラーに、お手持ちのイヤホンをさしてご利用ください。)
1997年生まれ、東京都出身。立教大学現代心理学部映像身体学科卒業、同大学院修士課程在学中。中学生の頃、自分に合った学習方法としてiPadを紹介され、そこでの短編映像の制作をきっかけに映像制作に興味を持つ。大学では、哲学、写真、映画、身体論などを学びながら、3年次より映像制作系のゼミに所属する。また、ボランティアサークル「バリアフリー映画上映会」実行委員を務め、上映会の企画・運営を行う。現在、しょうがい者が創作をする過程で生まれる、身体観やしょうがい観の変化について研究している。本作が初監督作品。
「表現活動をする人を撮ることで、自分がどう変わっていくのかを大切にしたい」。制作スタッフと集い、お互いの経験を話した初回撮影の最後、私はこう語りました。映画冒頭のインタビューを観るたびに、その場で汗ばみながら、少し震えて発した声と、いざ制作がはじまって、言葉にしたことを作品へのせるまでには、多くの葛藤があったことを思い出します。
佐沢さんと美月さんから、自分の思いを観客に届けるための活動が共有されました。その活動には多岐にわたる観点を含んでいることを知った自分は、圧倒されるばかりで、返せる言葉がありませんでした。ただ、この経験を通して「やりたい」と強く心に決めたのは、2人が語ったことや問いかけを自分の中に取り込んでの、自分なりの応答を、映像作品として形にしたいとの思いでした。その後、約1年かけて編集し、本作は、ぴあフィルムフェスティバルにて上映する機会を得ました。この上映では日本語字幕と音声ガイドを間に合わせることができませんでしたが、どのように届けるかにも、自分の思いが込められることを映画祭に参加することで実感し、今回の劇場公開にあたっては、日本語字幕と音声ガイドのある状態で上映することにしました。本作における、日本語字幕と音声ガイドは、この映画制作で自分が探究し、掴んでいったものを「自分なりに表現する」には不可欠なものとなりました。「オープン形式」での上映は、驚きや戸惑いが生じるかもしれませんが、最後まで、観ていただき何らかの引っかかりや新しい感覚、面白さを感じてもらいたいです。何かを受け取ってもらえたならば、作り手として、これほどうれしいことはありません。
『へんしんっ!』というタイトルは、本制作をスタートから見守り、数々の励ましやアドバイスをくれた篠崎誠さんからもらった言葉です。「映画作りを通して、体と心が変わっていくこと」が切に込められたタイトルです。これ以上に作品のことを深く、そして、自分らしく語ってくれる言葉は思いつきませんでした。
長い月日をかけて、迷いながら、映画を作ることは、貴重で味わい深い経験でした。出演者のみならず多くの人からあらゆる言葉をかけてもらい、鼓舞されてきました。自分の姿を映像で見続け、自分の声を聞き続け、あれこれと思い悩みながらパソコンを使って言葉をつづり続け、本作は完成しました。この過程によって、自分が何をすることに〈よろこび〉を感じるのか、以前よりも、少しだけ、はっきりと分かったような気がします。自分の変わっていく姿を映画にすることができ、作品として多くの人々に観てもらえることへの感謝とともに、映画と歩みながら生まれる、これからの出会いにワクワクします。
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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東京都中野区 | ポレポレ東中野 | 03-3371-0088 | 6月19日(土)より |
備考: | |||
東京都北区 | シネマ・チュプキ・タバタ | 03-6240-8480 | 6月19日(土)より |
備考:水曜定休 | |||
神奈川県横浜市 | 横浜 シネマ・ジャック&ベティ | 045-243-9800 | 近日公開 |
備考: |
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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愛知県名古屋市 | 名古屋シネマテーク | 052-733-3959 | 近日公開 | 備考: |
新潟県新潟市 | シネ・ウインド | 025-243-5530 | 近日公開 | 備考: |
富山県富山市 | ほとり座 | 076-422-0821 | 近日公開 |
備考: |
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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大阪府大阪市 | 第七藝術劇場 | 06-6302-2073 | 近日公開 | 備考: |
京都府京都市 | 京都シネマ | 075-353-4723 | 近日公開 | 備考: |
兵庫県神戸市 | 元町映画館 | 078-366-2636 | 近日公開 |
備考: |
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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広島県広島市 | 横川シネマ | 082-231-1001 | 近日公開 | 備考: |
愛媛県松山市 | シネマルナティック | 089-933-9240 | 近日公開 |
備考: |
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